僕は、通勤時は音楽を聞きながら移動しているのですが、たまにその曲に入れ込んでしまうと、その気分に影響されて、見慣れた風景が異様なまでに新鮮に感じられることがあります。
例えば、最近おおいに「センチメンタル秋モード」に落とし込んでくれた平井堅の歌なんかを聴きながら、渋谷駅で井の頭線の改札付近を歩いていると、到着した電車から降り、次々と改札を通って歩いてくる人々の風景がカラオケボックスで歌っているときなどに歌詞のスクリーンに映る背景の、中途半端に雰囲気のある映像になって見えることがあります。
歩いている人たちにすれば、ただ普通に仕事帰り、学校帰りで「早くメシ食って、フロはいって寝よ」とか思いながら疲れた顔をして歩いているだけなのでしょうが、僕の目には思いの届かない人のことを心に描いて、人生のほろ苦さを感じながら、哀愁を漂わせて、切ない表情をしている人々のように見えてくるのです。
一方で、渋谷周辺ならどこにでもいそうな、いちゃついている高校、大学生ぐらいのカップルの周辺が急に暗くなり、雪のふる寒い夜に互いに身を寄せ合いたたずむ恋人同士にピンスポットがあたったような情景に見えてくるのです。
そんな赤の他人に、心の中で「そんな、ちょっとのことぐらいで落ち込むことはないさ」とか「幸せになるんだよ」とか、自分勝手にシチュエーションを割り当て、コメントを考えているわけです。平常時の自分は、とてもそんなことを気にかけたり、思い描くことなんかあり得ないわけで、相当「いい人モード」になりきっているのです。恐らく周りの人からすればかなり怪しい雰囲気を醸し出して歩いているに違いないです。(あくまでも心でそう感じているだけで、表には出していないと信じてますが。。。)
まあ、何が言いたいかというと、結局、バカの壁ではありませんが、人間が何かを理解するなんてことは、相当な部分が主観的な気分とか勝手な思いこみの上に成り立っているものであって、とってもいい加減なことでしかないという、いつものやつです。
見方を変えれば、マインドコントロールなんてことは日常的に実践できるということなんでしょうか。
音楽を聞くだけで、世界がバラ色に見えてきたりして、自分の気持ちをコントロールできたら、そんなお手軽なことはないと思うのですが、なかなか思い通りにコントロールするのは難しいですね。
まあ、「幸せな気分になる」より、「幸せになる」のほうがいいにきまってますけど。。。