今晩は会社の皆さんでサッカーのW杯予選、北朝鮮戦を観戦していました。この企画は前々から計画されていたもので、ビール、軽食、おつまみ持ち込みでかなり盛り上がっていました。
もちろん、日本がロスタイムで劇的な得点をし、爽快感と共に試合を終了したのはいうまでもありません。前半で1点とった後は、しばらく一進一退で停滞していましたから、最後の得点はかなり印象的でした。でも、僕にとっては単に日本が接戦に勝ったということ以外にも、色々と心に印象の残る試合だったのです。
何と言葉に表現すれば適切なのか分かりませんが、北朝鮮の選手達のひたむきなプレーの姿に、思うところがあったという感じなのでしょうか。彼らは、必ずしも恵まれた環境の中で練習を積み重ねてきたとは思わないのですが、全体の連携の強さ、守備の形の作り方、チームプレーのうまさ、そして、守りから攻撃に転じるときの素早さとパス回しの正確さは、日本の上をいっていたと思うのです。
日本の監督なんて、サッカーの神様と言われるような人がやっているわけで、そんなすごい指導者の下でプレーしていても、彼らに対して圧倒的な差で勝つことができないのですから、きっと何かしら日本にかけている要素を北朝鮮の選手達は持っているのではないかと思ったのです。
そして、目立ったラフプレーもなく、試合がスムーズに進んだことも、意外でした。以前、中国に日本チームが遠征にいったときに、現地のサポーターにかなりひどい扱いをされたのを記憶していた僕は、何となく今回もそんな態度で北朝鮮チームは日本チームに対して当たってくるのかなという、イメージを持っていたのです。でも実際には、正々堂々、紳士的なプレーだったとは思わないでしょうか?
日本と北朝鮮との関係は、拉致問題など、政治レベルでの摩擦ばかりがクローズアップされて、非常に険悪なムードが漂っているように思えますが、民間レベルでは実際にはそれほど憎しみ合うような関係じゃないのではないかと思いました。もちろん、歴史認識を正しく持つということは、重要なことです。しかし、そのようにして過去の歴史を学んだ上で、同じ過ちを繰り返さないという信念を持ったのなら、その後は、前向きな関係を模索する方が重要なのだろうと思いました。
北朝鮮は指導者の影響力が非常に強いがために、対外的な印象全てがその影響を受けてしまい、あの、日本を馬鹿にしたような態度が、北朝鮮国民全体の意志を反映しているかのような錯覚を与えてしまう点で、損をしていると思います。今回の北朝鮮選手達のスポーツマンシップにあふれたひたむきなプレーはまさに、本来の彼らの国民性を表しているのではないかと思います。
彼らが「たかがW杯序盤の予選の一試合」の後に流していた「涙」は、偉大なる将軍様のことを思ってのものなのか、純粋に自分が試合に勝つことを望んで練習に励んできた、その積み重ねが功を奏さなかった不甲斐なさに対して、無念に思ったものなのかは分かりません。でも、今日の試合を見る限り、彼らは政治的な思惑を超えたいいプレーをしていたと思います。そういった彼らの姿勢を、スポーツ紙などが偏見の入った表現で誇張して報道しているのを見ると、日本人ももう少し大人になれよ、と思ってしまうのです。
ロスタイムに日本にゴールを許してしまった北朝鮮のゴールキーパーが将軍様の怒りに触れないことを祈りつつ、今日はもう寝ます。おやすみなさい。
今日のアルコール度数:★