ヴァイオリンの練習・その2

順番通りいくと,今日はその2ということで,スケールの練習の話ですね.

僕の勝手な思い込みでは,スケールの練習をまともに必要とするのは,ヴァイオリン属の弦楽器ぐらいじゃないかと思ったりするのですがどうなんでしょうか.

スケールの練習とは,僕の場合,ひたすら各調の音階を遅いスピードから速いスピードまで,何も考えずに正確な音程で演奏できることを目標とします.

長調と短調を交互に,フラットの数を1つずつ増やしていって,フラットが6個になったところからシャープが6個に変わって,シャープを1ずつ減らしながら,また元に戻っていくという,峠越えみたいな練習になります.

スケールの練習の楽譜は,至って無味乾燥としたもので,こんな規則的なら楽譜なんていらないんじゃないの,と思ったりするのですが,まあ,楽譜があった方が練習はしやすいです.

でも,あんまり調号の多い調になると,いちいち調号のついた音を頭の中で変換するのが面倒になり,かえって楽譜を見ないでポジションをずらした感覚で演奏した方が楽だったりして...これでは勉強になりませんかね.

スケールの練習のポイントは何かというと,やはり各調ごとのポジションの移動と,そのポジションに合った指の間隔,指を開くところと,狭めるところの把握といったことだと思います.要は,正確な音程で下から上まで演奏するってことです.

単に音階だけでなく,毎回アルペジオもあるので,こちらは特に,各ポジションごとの手の形が,美しい分散和音を奏でるために非常に重要になります.

僕にとっては,セブシックで指の形を整えた後に,それに加えて,スケールでポジションごとの肘の角度と手の形の感覚を整える,といった練習の位置づけです.

小野アンナの教本だと,大体2オクターブから3オクターブぐらいのスケールをやるのがメインの練習になっていて,それに加えて,重音やフラジオの練習なんかが入ってます.

弦楽器で音程をとるときには,簡単な調の場合には,ポイントポイントで押さえた音に共鳴してくれる開放弦があるので,共鳴している音を確かめながら演奏していれば,そうそう調から外れた音程で演奏してしまうようなことはありません.

でも,難しい調になると,1オクターブの中にまったく共鳴する音がない,なんてスケールもあったりするので,そんな場合には,上の音まであがって,戻ってきたら半音高くなっていた,なんてことが起こったりします.

響いちゃいけないはずの音が響いちゃったりすると,音程がずれたことが分かったりします.

変に倍音の鳴りすぎる楽器だったりすると,どの音でも倍音が鳴っちゃって,非常に演奏しづらくなったりします.

重音の練習は,どうなんでしょう.基本的には各ポジションごとの手の形が把握できていれば,そんなに難しいことではないと思います.

ただし,オクターブ以外の練習では,2つの指の間隔が広がったり狭まったりするので,その出現パターンをちゃんと把握できないといけないのが,難しい要素でしょうか.あとは,2本の指を同時に押さえると,二兎(音程)を追う者は一兎(音程)をも得ず状態になりがちなので,確実に二兎をゲットできるように,指を鍛えるってことが重要です.

音程の話をし始めると,また純正律と平均律の話にハマルので省略しますが,僕のモチベーションとしては,ヴァイオリンの独奏で練習するときは,基本的に純正調の感覚で演奏したいと思っています.音の響きが気持ちよいから.

というわけで,だいぶ長くなりましたが,やっぱスケールは正確な音程で音楽を奏でるための基本だと思います.練習している曲と同じ調のスケールをやる(もちろん正確な音程で)だけで,かなり聞き映えのする演奏に変化しますから.

昔は楽譜が無味乾燥としていてつまらないと思ってきたスケールですが,極めるにはなかなか奥が深く,こだわり甲斐のある練習なのです.

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