暗譜のテクニック

そんなものがあるなら僕も教えて欲しいぐらいですが...

「どうやって覚えたの?」と聞かれても,「自然と覚えていました!」ってぐらいしか答えようがありません.

でも何となく言えるのは,楽器を弾くという感覚は,楽譜の視覚的なイメージと,メロディーの記憶,楽器を持って演奏しているときの体の運動の感覚が全て統合されて,はじめて実現されているということです.

暗譜をするということは,要するに楽譜の視覚的イメージという手がかりがなくても,演奏できるようになるということであって,視覚的イメージがなくなった分,身体の運動の感覚で曲を覚えているような状態に近いように思います.

頭の中で,どの弦の何ポジで何番の指を押さえる云々...と考えても全然曲を思い出せないのですが,楽器を持って演奏をする姿勢になり,あるフレーズを演奏するために,体を動かし始めると,その次のフレーズに相当する身体の運動が自然に続いて出てくる,という感覚です.

だから,体の感覚で演奏している状態で,ふと楽譜に書いてあることも加味しようと楽譜を見,視覚イメージも統合しようとすると,混乱して,演奏が続けられなくなったりします.楽譜を見なければ演奏できるのに,楽譜の通り演奏しようと意識すると,演奏できなくなるという,不思議な感覚です.

世の中には,目の前に楽譜がなくても,楽譜の視覚的イメージが脳裏に思い浮かんで,それを見ながら演奏する,という方法で暗譜している人もいるかもしれませんが,僕はどうやらこの方法ではないようです.

弾けないところを何度も何度も練習していたら,楽譜を見なくても,少なくともどう弾かなければいけないかぐらいは自然と覚えてしまいます.あとは,その理想通りに体が動くようになるまで練習をするってことになり,そんなことを繰り返してたら,自然と体が覚えてしまうというのがストーリーです.

楽譜を見ないまでも,視覚もフル活用してより万全を期するなら,自分の左手を見つめながら演奏すればいいのではないかと思います.身体運動の感覚だけでなく,曲を演奏するときの左手の運動の視覚的イメージもが手がかりとなって,より安定的に曲を覚えることができるのではないかなぁと,思います.

僕は自分の左手を見つめてしまうと,ムカデのように動いている自分の左手が自分の手ではないような奇妙なものに見えてきて,ふと我に返ってしまい,演奏に集中できないことが多いので,あまり見る習慣がないのですけれど.

というわけで,ずーっと演奏していれば,そのうち覚えます.というのが,テクニックでも何でもない,僕の暗譜の方法なのです.

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