


昨年はは両親が滞在していたので,ジャカルタで新年を迎えましたが,今年は何となく旅行に行きたくなり,上海で新年を迎えました.
旅行に行くのを決めたのが11月末ぐらいだったので,かなり急ピッチに予定を組むことになり,いつもならDIYでスケジュールを組んで旅行するのですが,今回は3泊4日のツアーをHISで申し込んでみました.
今回恐らく5年ぶりぐらいにツアーで旅行してみて感じたことは,ツアーというのは,なんの脈絡もなく全く偶然に色んな人々が集合するので,他のグループの人々の行動パターンを観察するとなかなか面白いということです.
不思議な雰囲気のおじさんが一人で参加していたり,恐らく独身と思われる女性ペアが彼氏の選び方に関して毒を吐きながら会話をしていたり,女性2人が小さな子供を連れて参加し,「今度苗字が変わるんだ~」という話をしていたり,超ラブラブなカップルが行動中,常に熱愛ぶりを披露していたり,明らかに学生旅行ではなく,関係がいまいち分からない男性ペアが敬語で話しながら仲良く行動していたりと,みんな非常に個性的です.
で,僕の結論.ツアー旅行をテーマに映画ができるに違いないってこと.ていうか,あるんじゃないのっ?て気がします.三谷幸喜辺りが作りかねない・・・と.
上海の天候は,最高気温ひとケタ,最低気温マイナスひとケタという感じで,東京よりはるかに寒かったです.しかし,天気はずっと晴れで,全く雨が降る気配すらありませんでした.内陸からずっと寒気が吹き付けているからですかね,乾燥した空気でメチャクチャ冷たい風がビュービューという感じです.
で,英語は全然通じない.僕は日本語と英語以外は全く話せないので,言語的コミュニケーション手段をほぼ持ち合わせないに等しかったのですが,買い物とか食事とか,全く問題になりませんでした.とにかく英語で何か言い続けると伝わるようだし,時には日本語で言っても何となく通じる感じ.より多くのチャンネルで気持ちを表現していれば,雰囲気で伝わるんでしょうね.まあ,コンテキストを共有していれば,次に何をしたいのかは同じ人間なら容易に想像できてしまうのでしょう.
でも,片言の中国語ぐらいは話せたほうが旅が楽しくなるだろうなぁと思いました.
中国の印象.
1.大気汚染がひどい
飛行機で上海に近づくにつれ空が茶色くなって,明らかにかすんでいくので「こりゃひどい」と思ったのですが,やはり市内も晴れているのに常に空はどんより,黄砂と排気ガスでかなり息苦しい感じがしました.ずっと外出していると,結構のどがやられてしまいました.
2.水道水がひどい
えー,ホテルの水道から出る水,およびお茶などで出される水,全てにおいて共通の泥臭さがありました.まあ,日本の水道水のクオリティが高すぎるぐらいに素晴らしいので比較にはならないのですが,歯磨きやシャワーにミネラルウォーターを使いたくなるほど,臭いはかなり気になるものでした.
3.都市開発がすごい
ある区画は瓦礫の山かと思えば,ある区画はヨーロッパと見間違えるような西洋風で洗練された町並み,カンフー映画に出てきそうな細い路地に,建物の2階から洗濯物が干されていたり,昔ながらのアジアンな街路があるかと思えば,超高層なビルが建っていたり,全体としては非常にカオスな感じの都市でした.
4.ハコの凄さに人間がが追いついていない
いやー,建物とか内装とか,町並みとか,売っている商品のクオリティ,完成度とか,モノの外見は凄いんです.でも,そこに生きる人間の文化が追いついていない.
例えば,ツアーの中で2日目の晩に高級な中華料理を食べるイベントがあったのですが,これはとてもおしゃれな洋館で,内装も立派,食器もとても素敵な雰囲気で,フロアにいた給仕の人もパリッとした服装で気取った雰囲気がとても立派でした.で,最初は何となくどんな感じで食べればいいのかなぁなどと,少し緊張していたのですが,その後がなかなかシュールな展開になりました.
その夕食の後に上海雑技を鑑賞することになっていたのですが,終わりの時間が結構キツキツになっているにも関わらず,コース料理の途中から急に料理の間隔が長くなり,次の料理が出てこなくなったのです.その頃からか,突然部屋の外の廊下で大声で従業員同士が会話を始めました.明らかに,裏方はてんやわんやであることが見え見えです.
やっと料理が出てきたと思ったら,出すのが間に合わないのか,ツアーの現地係員の人まで参加して給仕を始める始末.最初いた給仕の人ではサービスが間に合わなくなって,全く普段着の裏方さんまで出てくるし,客の目の前をさえぎるように体を伸ばして隣の客に皿を置こうとしたり,料理の間隔が詰まり過ぎて,前の料理が食べ終わる前に次の料理が次々と出てきて,食べ終わる前の料理を下げようとしたり,まるでチャップリンのモダンタイムスで出てきた自動食事マシンの様な状態になりました.
挙句の果てには,ショウロンポウを蒸すのが間に合わないとかで先にデザートが出てくるし,テーブルの周りで従業員同士が大声で話を始めるし,かなりハチャメチャになりました.どんなに修羅場っても,冷静さを保って雰囲気を維持するっていう文化はまだ根付いていないのでしょうね.
で,その後の雑技団のパフォーマンスが上演される会場への移動も凄かったです.開演時間が過ぎてしまっているので,観光バスは道をUターンする時間も惜しいということで,いきなり道を斜めに遮ってバスを止めてしまいました.というわけで,いきなり上下線とも道は大渋滞,乗客は駆け足でバスを降りて会場へと乗り込む羽目になりました(笑).
5.みんな意外といい人
何年か前の日本バッシングとかの暴動の様子の印象が強かったので,中国の人はみんな日本人が嫌いなのかなと思ったのですが,意外にもみんな親切に応対してくれました.時々つっけんどんな態度の人もいましたけど,あれが向こうでは普通なんでしょう.日本のサービス業に携わる人々は常に,ニコニコしていますけれど,これも特殊なことだろうと思います.
北京オリンピックや上海万博など世界に対して中国の発展ぶりを見て欲しいという気持ちからでしょうか,皆さん,とても頑張っている姿が印象的でした.そして,まだ素朴な素顔を持っている若者の姿も印象的でした.
急激な経済成長のツケで環境汚染がひどくなったり,貧富の差が開いたりと,一筋縄ではいかない中国の発展ぶりですが,あまり急ぎすぎず,日本とかを変に意識しすぎず,家族を大切にする儒教の文化も守りながら,中国なりの良い発展の道を歩んでいければいいのになぁと思いました.