変化を感じる

僕がSフィルのインペクに任命されてかれこれ2年は経つと思いますが、今年8月に出発する留学のこともあり、後任の方に仕事を引き継いでいきながら、お役ご免モードに入りつつあります。

というわけで、オケの運営メンバーとしては新参者であり、運営の重要な仕事をこなす人間でもありながら、音楽とは直接関係が無く、若干脇役的で傍観者的でもあった自分の立場から、僕がSフィルで過ごしたこれまでの短い歴史を振り返ってみようと思います。

僕がインペクであったこれまでの2年間には、オケの運営形態がガラリと変わったり、本社が移転したり、ニューヨーク公演があったりと、まあ、イベント尽くしな日々でした。

最近ふと変化を感じるのは、オケの活動(運営)がいわゆる組織として動くようになってきたということです。100人以上の団員を抱える団体ですから、組織的に運営をしなければ、そもそもやっていけないはずなのですが、それまでは、一部の献身的な人々(若干ワンマンな側面も。。。)の超絶技巧的な運営により、微妙なバランスの上にオケの活動が成り立っていたように思います。

なんか、昔は運営に関わる人々も含めた人間関係もギクシャクしていたし、それを思うと、今はそんな話も全然聞かなくなりました。活動の雰囲気に変なクセが無くなって、いってみれば、非常に普通でまじめなオケに変貌したと思います。あまり目立ってドロドロした問題も起きなくなりました。

昔は、ドロドロ人間関係や利害の対立などの意味で、オケは社会の縮図だ、みたいなことを感じていたのですが、そんなこともなくなりました。当たり前なことなのですが、様々なしがらみを意識することなく音楽活動に専念できるようになったということです。

もちろんそれぞれの人の個性が消えて無くなったというわけではないのですが、状況がきわめて平穏なため、個性が悪い方向に目立ってしまうということが無くなり、それぞれの人のクセがうまく取りなせているということなのだろうと思います。

ヴァイオリンのパート間で滅多に人が入れ替わらないという異常な雰囲気も、最近は変化してきましたし。(何気に、僕はこれはSフィルの個性でもあり、変なところだなぁとも思っていたのですが、状況が解消して、ひとつクセが抜けたなぁと感じるのです。)

それまで色々な運営に関わる細かい情報を、団員間で共有していなかったからなのかもしれませんが、昔はなんとなく、団員皆さんのオケの活動(特に運営)に対する当事者意識が薄かったように思っていました。演奏に参加したら後は一部の運営に関わる人にお任せ、みたいな。(これはKフィルの皆さんの活動している姿と対比して、特に印象強く思ったことでした。)

インペク業をしていても、肩の荷の重さが昔の方が重かったように思います。

もちろん音頭をとらないと、セッティングやら片付けやらが始まらない「指示待ちぶらさがり体質」は変わらないのですが、昔よりは色々な人が打楽器や譜面台の片付けに参加してくれるようになったと感じています。「こんな問題が起きている」と話せば、それぞれの人が、それぞれに「何かできることはないか」と感じるようになったと思います。

運営をやっていても、色々な物事を決める時に明朗な議論がなされていると感じます。それぞれの人がやるべき仕事が明確に整理されてきたと感じます。仕事を分担すると、様々な決めごとに対して、意見調整のために時間がかかるようになるのですが、明朗な意志決定プロセスのためにも、綿密なコミュニケーションの下、組織的な意志決定は必要だろうと思います。

個性を持った様々な人がそれぞれの立場から意見を述べ合い、お互いの意見を尊重しつつ、調整するというのは、非常に社会的であり、大人な問題であり、理想的で夢のようなことであり、人間力が試されることなのですが、これを乗り越えないと、やはりオケのような組織の運営はスムーズに進まないと思います。

この変化というのは、特別誰が何をしたから起きたという性質のものではないのかもしれません。ただ単に、仕事を役割分担して、それぞれの人が自分のすべきことを全うするという組織的運営をしていたら自然と生まれてきた結果のように思います。

まだ、臭いものに蓋をして、そのことには極力触れないようにし、表面をきれいにとりつくろい、周辺環境を安定させることに専念してきた節もあります。ビッグイベントへの対応が先行して後手後手に回り、先送りとなった課題は確かに残っています。しかし、問題は一つ一つ解決していかないと混乱してしまいます。

運営体制転換の過渡期にあって、次の運営にバトンタッチするリレー選手の役割は、ひとまず果たせたのではないかと自負しています。

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