羽のない扇風機

dyson エアーマルチプライヤー AM01エアーマルチプライヤー25cm サテンブルー AM01 25 IB
dyson エアーマルチプライヤー

アイディアがとても面白いと思いました.本来羽があるべき所に羽がなくて,単なる筒になっているという,意表を突いたデザインが最高です.

常識を覆した発想をそのまま商品にしてしまった,ダイソンさんの気概に乾杯.

で,吸い込んだ空気の15倍の風量があるということが宣伝文句になっています.

しかし,風量を確保するためのエネルギーが湧いて出てくるわけではなく,当然エネルギーは保存するわけですから,風量を生み出す分の電気エネルギーはどこかで消費しているわけです.

要は吸い込んだ少ない空気を思いっきり圧縮して,圧力としてエネルギーを充填し,ノズルから噴出するときに,圧力を下げると同時に空気の運動エネルギーに変換しているというわけです.いわゆるベルヌーイの定理です.大学の流体力学で習いました.トリックを知ってしまえば,ああ,そういうことですかって感じ.

で,ノズルの形状によって圧力をどんな流体の運動に変換するかが決まるわけです.単にスリットから圧縮空気を吹き出しただけじゃ局所的な気流しか生み出せないので,あの円筒があるわけです.

内側は飛行機の羽を円形につなげたようなものになっているそうですが,要は,内側のスリットから圧縮空気を吹き出すと流速の早い円筒の中心の気圧が低くなるので,そこに向かって周囲の空気が流れ込んで,スリットから吹き出る局所的な空気の流れを,円筒形の大きな体積の空気の流れに変換することができるわけです.さらに,内壁に飛行機の羽みたいに傾斜がついているのは,円筒状の空気の流れに関して,圧力をより効果的に流速に変換するための仕掛けです.

しかし,大きなかごの中で数枚の羽をクルクル回す扇風機よりは,小さな円筒の中でファンを回転させた方がエネルギー効率が良かったりするのでしょうか?最終的なエネルギー効率がどうなっているのかが気になります.

一方で,表に出ていた大きな羽根車を,土台の中の小さなファンとして埋め込んだのはデザイン的には非常に発想がいいと思うのですが,羽の径を犠牲にしたということは,回転数で補わなければいけないということになるはずです.

だから,この扇風機,きっとドライヤーみたいな音がするはずです.扇風機は羽根車の径が大きいから,ゆっくり静かに回しても風量を確保することができるわけですから.よく飲食店とかで,天井についている扇風機がいい例です.

あと,小さなスリットから圧縮空気を吹き出すということは,スプレーみたいにシューっていう音がしてしまうはずなのですが...

きっと,就寝中はうるさくて使えないんじゃないかなぁ,と思います.

僕はてっきり,イオンエンジンとか,電子レンジの原理みたいに,今までとは全く違う方法で電気エネルギーをダイレクトに粒子の運動エネルギーに変換しているのかと思ったのですが,意外とシンプルな話でした.

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