オメガ,ロラン,デッカ

これらの名称を見て意味が分かる人はごく限られていると思いますが,マイミクの中にはいるでしょうか.船に乗る人とかなら,知っているでしょうか.どれも,双曲線航法に使う無線システムの名前です.

GPSが整備される前に主に使われていたもので,3カ所の無線局からの電波の時差を利用して自分の位置を知るというものです.

双曲線とは,焦点からの距離の差が一定の線なので,2つの無線局からの時差が分かれば地図上に双曲線が一本引け,さらにもう一つの情報を加えると2本の双曲線が引けるので,その交点が現在位置になるという仕掛けです.

で,カバーする範囲が大きいものほど波長の長い電波を使っていて,オメガが一番大きく,地球上に8局の電波塔を建てて,世界中をカバーしていました.日本にも対馬にオメガ塔(455メートル!)というのが建っていたんですね.

さらに,ロランになるとカバーする範囲はもう少し狭くなりますが,日本では4局管理されていて,伊豆諸島の新島,沖縄の慶佐次,南鳥島,そして北海道の十勝太に電波塔がありました.

なんといってもすごいのは,電波塔の一つが南鳥島に建っていたということです.この航法システムを維持するためだけに,絶海の孤島に海上保安庁の職員を送り込み,維持管理をしてきた(かつてはUS Coast Guardの管理下だったらしい)のですから.

でも,そんな南鳥島ロランC局も,今年の12月で閉局だそうです.

GPSが高精度で民間に開放されるようになって,維持管理にかかるコストに見合う価値が見出せなくなったのでしょう.

ちなみに,北海道にあったデッカチェーンは(ロランよりさらに狭い範囲をカバー)2001年に早々と解体されています.

僕が灯台マニアだから,こんな電波の灯台に食いついてしまうのか...

多分そうでしょう.

かつての灯台守のように,その施設に人が常駐して維持管理を担当するなどという,前時代的な事が今でも行われているというだけで,ノスタルジックさが醸し出され,レア物好きの僕にはたまらないお話です.

それも,民間人は上陸できず,気象庁,海上保安庁,海上自衛隊の職員が週一便の補給を頼りに勤務しているという日本最東端の島,南鳥島にそんなレアな施設があるというだけで,大興奮です.

レア物好きという点では,もちろん沖ノ鳥島のうんちく話も大好きです.あんな島(岩)に,夜たった一人取でり残されたら一体どんな気分なんだろうとか想像するだけで心拍数が上がります.星空は綺麗なんだろうなぁとか,波の音しか聞こえなくて怖いだろうなぁとか,台風が来たらどっかに飛ばされちゃうだろうなぁとか...

今日は色々話が飛びますが,廃れゆく技術といえば,スペースシャトルとももうすぐお別れですね.コンコルドもいなくなっちゃったし,最近は,効率化や経済性を重視するあまり,かつてのような尖った技術は失われてきているように感じます.

現在の技術には目もくれず,若干古くなって使われなくなりつつある技術に目を向けてしまうのは何故なんでしょうか.真空管が好きなのも,恐らく同じ理由です.

ま,僕がマニアックな人間だということはわかります.

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