僕は、こういう優劣をつけるようなイベントが嫌いなのですが、研究室では新しく来た人がやるのが恒例になっているとのことで、シェフとして参加してきました。
対戦相手はハーバードから来たポスドクのインド系アメリカ人の人で、僕と同時期にスイスにやってきた人です。
ジャッジする人達は、15人ぐらいいたでしょうか。こんなたくさんの人向けに料理を作ったことがなかったので、かなり大変でした。
ルールのポイントとしては、
・前菜、メイン、デザートの3品を作る
・前菜はあらかじめ家で準備してきてよい
・メインの材料はあらかじめ用意されたもの以外をを使ってはいけない
・メインの材料は料理開始まで知らされない
・デザートは好きな材料を使ってよいが、会場で作らなければいけない
という感じです。
僕が作ったのは、前菜にのり巻き、メインにカレー、デザートにパンナコッタでした。
前菜はどちらかというと普通巻きのカリフォルニアロールだったのですが、まあ、日本ぽくて期待通りだったでしょうか。日本から持ってきた小さな炊飯器は3合までしか炊けなかったので、量はギリギリでした。酢飯、アボカド、魚肉スティック、レタス、卵焼きを準備していって、会場で一気に巻き上げる戦法でしたが、なかなかうまくいきました。
2品目のカレーは、僕が日本から持ってきたカレールーを使ってしまったということで、材料なのかスパイスなのかという点でかなり議論になり、使ってもよいが、心象が悪くなったという感じでした。作るのが簡単すぎるというのも議論になりました。
これはやっぱりちょっと問題でした。でも、味自体は美味しかったようです。
最後のデザートは、作るのも簡単で、内容もシンプルな割に、ヨーロッパ人受けするかなという目論見で選びました。スイスはミルク製品のクオリティが高いですし。
最終的には、パンナコッタが一番気に入っていたようでした。ミントとフランボワーズとハチミツで作ったジャムをトッピングしたのもポイントが高いようでした。
というわけで、前菜とデザートのポイントを獲得し、2対1で僕が勝ちました。
しかし、一人で準備するのは意外と大変でしたし、緊張もしました。
僕はこういう対戦ものはやっぱり嫌いです。勝っても相手が気の毒ですし、負けても悔しいです。僕には狩猟民族の血は流れていないのでしょう。
オマケですが、僕と対戦相手の人以外は全員欧米系の人々というわけで、僕の感覚としては完全なアウェー状態でした。別れ際には例の頬を交互に3回つっくけるスイス流キスの挨拶を何人もの人とやることになり、慣れない自分は結構タジタジでした。