研究。研究。

当たり前ですが、日々研究しています。それもとびきり学術的なやつを。

会社でこういう研究をやろうとすると、将来のアプリケーション像とか商品にどう結びつくのかという点を説明しなければいけなくなるので、プラスアルファのエネルギーが必要なのですが、大学ではこれが当たり前。興味のある研究をすると、それが科学的発見に結びつき、価値を認められるのです。読みたい論文も大学のネットワークからならほとんどダウンロードし放題。

何とも居心地が良く、研究に適した環境だと思います。まあ、客員研究員という立場なので、本来研究室に在籍する学生やポスドクがやるべき仕事があまり回ってこないという特典があるのも大きいのですが。

研究者としてのキャリアを積むとなると、数年おきにポスドクの受け入れ先を探しながら世界中をさすらい、最終的にうまくいけば、大学や研究機関のポストを得るという道が待ち構えています。さらに、飛び抜けない限り、企業での研究者ほどの収入も期待できないでしょう。

でも、quality of lifeの視点で考えると、スイスでの研究生活というのは特にですが、ハイレベルだと思います。

長時間、満員の通勤電車に揺られることもないので、ホームで列に割り込んだとか、椅子取りゲームに負けたとか、隣の客に背中を押されたとか、無意味なことに精神をすり減らす必要がありません。夕方は19時には帰宅します。22時頃まで仕事をするなんて考えられません。むしろ、21時ぐらいから(時間が遅い方がコート代が安い)友人とスポーツでもしてから帰宅するという感じです。

空気も水も美味しい、湿度が高くなくて快適。電車や自動車で1時間以内にハイキングやスキーのできる山がある。大学から眺める湖と山の風景は美しい。治安はきわめて良い。人口密度が低い。発展途上国みたいに、感染症の心配もない。人々があくせくしていない。娯楽はあまり多くありませんが、やるべき研究に没頭できます。

そもそも、博士課程の研究者なのに、学校に学費を払うどころか、研究室に雇われて給料をもらい、日常生活をしながら研究をしているというのが大きいです。

あえて難点をあげるとすれば、僕の好きな海産物があまり食べられないことぐらいでしょうか。

というわけで、ホームシックになることもあるかと思いましたが、今のところ全くその気配がありません。まあ、帰ろうと思えば数万円でいつでも帰れるという感覚があるのが大きいのかもしれませんが。

とりあえず今は、いられるものならもっといてもいいなと思います。でも、そうもいっていられませんから、とにかく目の前の研究に取り組んで、期限までにできる限りを尽くす。それだけです。

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