はやぶさ帰還

はやぶさのミッション完遂。無事カプセルも回収されそうですね。すごく壮大なストーリーでした。

日本の宇宙開発は、かつてのH-IIロケットの失敗で一時はどうなることかと思いましたが、やはり長い時間をかけて積み重ねた技術というのは、粘り強さが違うようです。H-IIロケットのような衛星打ち上げビジネスとしての側面だけではなく、純粋な宇宙科学としても世界に誇るべき結果を残すことができたことで、多くの日本人は勇気づけられたのではないかと思います。戦後の恵まれない環境の下で、宇宙開発の歴史を切り開いてくれた糸川英夫博士に改めて感謝の気持ちを表したいと思います。

企業の経営も、国の科学技術政策も、とにかく一朝一夕に結果を求めようとする風潮が強すぎるように思います。もちろん、無駄な支出はないように研究するべきと思いますが、何が無駄であるとは簡単には判断がつけられないのも基礎研究の特徴だと思います。一方で、予算をジャブジャブつければ良い結果が残せるかというと、そういうわけでもないと思います。少し前のロボット研究プロジェクトに投下された国家予算のように。

要は、研究者の信念の問題です。研究者の心の火が消えない限りは、予算とは関係なく、価値ある研究ができると思います。一番良くないのは、研究者の心の火がまだ灯っているのに、予算削減だと言って容赦なく組織を解体してしまうことです。これはいけません。研究者が信じるものを持っている限り、予算は削減してもいいので、最低限の研究環境は残すべきなのではないかと思います。研究者が過酷な状況下でも研究を続けようと信じる根拠には、それなりの理由があるはずなのです。

経営も重要でしょう。株主や納税者の声も聞く必要があるでしょう。しかし、目前の決算の帳尻合わせをするだけの視点で組織を運営していては、過去の貯金を食いつぶすだけで、いつかは前に進めなくなる時が来てしまいます。そうならないように、正しい選別眼で、将来の種を育てて欲しいと思います。

とにかく、科学技術は一番でなければ意味がないのです。核兵器の抑止力と同じようなものです。国益、国防としての視点で、科学技術の先進性を議論する風潮があってもいいのではないかと思います。

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