From Geneva to Tokyo

懸案の荷物重量問題は、30kgに達していて、まったく議論の余地のないほどオーバーしていました。体重計でチェックしておけば良かったですが、家になかったので仕方ありません。チャージは1kgにつき50CHFだそうで、10キロオーバーだと料金が4万円ぐらいになります。そんなに価値のあるものでもないので、洋服とかを空港のゴミ箱に捨て、7kg減らしました。こういう強制的な力でもないと、なかなかモノを捨てられないのでちょうど良かったかも知れません。この1年お世話になったジーンズも空港でお別れになりました。

空港に到着してチェックインカウンターを確認すると、スイスインターナショナルがSASの代行をしているようなシステムになっていたので、何となく嫌な予感がしたのですが、予想通りの展開になりました。スイス人はルールを逸脱することが大嫌いなのです。一回決めたことは正式な手続きを踏まない限り、変更してくれません。信頼感がありますが、時に頑なすぎるんです。この間の送別会でも、当日に2人人数が増えるとウェイターに言ったら、今晩は全席満席だから今更増やせないよ、なんで電話で事前に言わないんだと言われ、たった2席ぐらいなら、座席を隅に追加すればどうとでもなるでしょと思って、結局どうにかなったという記憶もあり。。。まあ、それでも今回は3kg大目に見てくれたので、よかったと思います。

さて、結局1回目のチェックインでは30kgオーバーで出直すことにし、2度目のトライでもまだ25kgで、お兄さんに3kgまでなら目をつぶってくれると言われ、ボーディングパスだけもらいました。そして、再度荷物を取り出してどうにか最終的に23kgにしました。3度目のバゲージドロップ専用のカウンターでは、それでも3kgオーバーだと言われ、こりゃ駄目だと思ったのですが、これでも30kgから7kg減らして、23kgにしたのだし、向こうのカウンターでは3kgまでならオーバーしてもいいよと言われた(冷静に考えればわけのわからない論理ですが、)と説明すると、黙って受け取ってくれました。ラッキー。

背中にはノートPC2台とiPad、デジカメに、リチウムイオンバッテリを3パックぐらい背負っているので、背中と楽器だけでも10kgぐらい到達していそうな気もしましたが、まあ、その辺は触れないでおきました。というわけで、どうにかチェックイン、そしてセキュリティーチェック通過。USなら機内持ち込みの背中の荷物も、相当セキュリティーの感性に引っかかりやすい見てくれのモノが沢山入っているような気がしますが、この辺はまだヨーロッパは寛容な気がします。

さらに、空港内で免税手続きをして一安心です。しかし、免税手続きでなぜか現金が還元されてしまいました。クレジットカードに返金してくれるはずだったのに、今更スイスフランもらってもな。。。という感じです。ドルかユーロかスイスフラン、と言われ、それならスイスフランしかないでしょと言ったものの(カウンターのお兄さんは少し嬉しそうな顔をしていましたが、きっとスイス人の自尊心をくすぐったから)日本で両替したらレート悪そうですね。でも、しばらくレートが下がり続けそうなドルやユーロはあまり持つ気になりません。

ちなみに、Tax refundの窓口に並んでいたのは、オイルマネーのアラブな人々、ホットマネーなチャイニーズな人々、そして円高成金のジャパニーズな人々でした。何となくこの列に並ぶのは恥ずかしかったです。ちなみに、スイスの免税手続きは商品の現物チェックがありません。購入控えの領収書と複写式の書類2枚を提出すると、その場で現金で返金してくれます。出国証明を見るわけでもないし、この仕組みは信頼関係で成り立っているのでしょうか。

そして、来たときと同じようにコペンハーゲン経由で成田行きでした。最近は昔のように飛行機に乗っても高揚したり、ときめかなくなったなと思いつつ、合計15時間の空の旅を終了しました。今回は非常口前の席を確保してくれたので、非常に楽でした。

しかし、東京の暑いこと。日陰に入っても全然気温が変化しないこの暑さは完全に忘れていました。こんな気候だと日本の生産性は下がるよなぁ、しばらくするとこの暑さに慣れるのだろうか、しかし、この暑さの中でも日本の自然は豊かだなぁなどと思いつつ、車窓を眺めていました。

ここのところ、毎回日本に帰ってきて感じることは、つくづく日本は木と紙の文化で、ヨーロッパは石と鉄の文化なんだということです。街並みや、車両などのインダストリアルデザインを見ると、そう感じるのです。日本の家屋は、さすがに完全な木造というのはそんなに多くないのでしょうけれど、石膏ボードというか、プレハブというか、木と石の中間みたいな材質で作られています。言っちゃ悪いですが、見た目が非常にチープです。地震や台風など自然災害で作り変わることを前提とする建築なのかも知れませんが、石を積み上げ、柱や窓枠にやたらと細工を施す建築、そしてそんな建物に通りが囲まれる、という街並みとはだいぶ趣が違います。

車両にしてもそうです。日本の列車の扉はまるで、ふすまか障子を閉めるようなそろそろとした動きです。ヨーロッパの列車は、まるでお城の門塀か何かのような重厚な作りで、人が挟まったらさぞかし痛いだろうという動きをします。思いっきりグワーンと来て、ガチャ、みたいな。建設機械みたいなイメージです。

どちらが優れているかを議論するつもりはないです。日本の折り紙のようなステンレススチールの車両は、軽量化によって相当な省エネを実現しているのでしょうから、これは日本の伝統に基づく自然かつ優位な帰結だろうと思います。この技術の延長に世界に誇るハイスピードトレインがあるわけですから、劣っているというわけではありません。ただ、内装に関しては、もう少し文化にこだわってもいいかなという気がします。

日本のデザインは経済性を優先しすぎている気がします。機能性は満たされていますが、何となく味気ないのです。成田エクスプレスの内装も、昔の車両の内装の方が重厚で好きでした。新しい車両はハイテクで空間的なゆとりもありますが、とても簡素な感じがします。東横インに宿泊した時のイメージと言ったらわかるでしょうか。

4カ国語アナウンスも案内ディスプレイも、スイスに負けず劣らずきめ細やかな心配りだと思いますが、若干情報過多かなという気もします。到着前は混雑するから早めに荷物の準備をしなさいとか、大人なら普通にわかることだし、暗証番号を忘れたら終着駅での取り扱いになりますとか、暗証番号を忘れる方が悪いのだから、鉄道会社が乗客にそんなにへつらう必要もありません。容易に想像できることはいちいちアナウンスしなくても良いように思います。

日本人は優しく、きめ細やかな気配りができて素晴らしい国民だと思いますが、人間同士のコミュニケーションが、お互いに過保護、もしくは甘えているような気がしないでもありません。

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