スイス留学中、隣の席で1年間かけて、教授にダメ出しされ、研究テーマを考え続けている博士課程の学生を見ていて、研究テーマを決めるだけで1年間も悩み続けるなんて、こりゃ大変なことだなぁと思っていました。
既存の研究をリサーチして、まだ解かれていない問題を発見し、それが学術的に価値のある研究で、自分のモチベーションにつながる研究かを判断していくというプロセスです。これは、かなりの試行錯誤(時間)を要します。その代わり、研究を開始するときには、周辺分野に関して知らないことがなくなり、テーマに対して何も迷いというものがなくなっている状態になります。
が、同じことを自分がする番になりました。
さすがに日本の課程では、教育システムとしては欧米ほどの厳密さは求められないので、条件では緩さがあるのですが、自分の場合、時間的な制約もあり、失敗して後戻りする時間もないので、今からかなり真剣に自分の研究計画を考えなければいけません。自分に厳しくやるかどうかは自己責任に任されていると言ったらいいでしょうか。
実際に研究を推進する以前に、研究テーマを決めるまでの血のにじむような経験をしたからこそ、情報収集能力や、効率的な研究推進のための計画立案能力が身に付くわけで、こういうノウハウを持っている点も、欧米のドクターと呼ばれる人たちが一目置かれている理由の一つだと思います。
で、今日は、留学中にお世話になった研究室のポスドクとSkypeで話をしました。留学中に私がやっていた研究テーマを引き続きやっていた人で、どんな進捗があったのかを聞くのが目的でした。結論としては、自分が留学中にやっていたことの内容はほぼ分析し尽くされ、続きをやるフェーズではないということがわかりました。
というわけで、留学中1年頑張ったことが完遂できず、残念は残念なのですが、数年間放置したのだから仕方ありません。新しい気持ちでスタートが切れるという意味では、決心がついて良かったと思います。
一方で、人と話をすると、深層心理で自分が何をしたいと考えているのかを見つめるきっかけを与えてもらえ、自分にとってはいい刺激になりました。自分の興味ある内容にダイレクトヒットするような既存研究も教えてもらえ、研究テーマに関するイメージがかなり具体化されました。素晴らしいです。
やっぱり、いろんな人と話をして、自分の知らなかった世界を広げるということが出来ると、喜びを感じます。
自分の世界や考えに閉じこもらず、考えを発信し、オープンマインドで行きたいと思った本日でした。